資生堂が美容部員を育ててカウンセリング化粧品を売っているのと対照的に、

花王は良い商品を安く提供できれば、必ず消費者に理解されるという方法で

成長して来ました。

 

花王の得意とする家庭用雑貨品は、良い商品を大量宣伝で消費者に認知、使用して

もらうことにより売上を伸ばしたのです。

 

その花王が、花王ソフィーナを発売してから25年以上経ちますが、その花王

でさえ、化粧品市場は苦戦の連続でした。

 

化粧品市場はブランド力が強い、イメージ商品でもあったのです。

 

その花王がカネボウ化粧品を買収し、今までの方針を変更したと思われる

行動に出ました。

 

そこには、花王のこれからの戦略があるのです。

 

 

1.花王の挑戦「花王ソフィーナから24年」(2008年7月14日のブログから)

 

花王と言えば家庭用製品事業、化粧品事業及び工業用製品事業を行う会社です。

(花王期末報告書、事業レポートより)

その花王が2006年に「カネボウ化粧品」を買収し子会社にしました。

1982年に基礎化粧品シリーズ「花王ソフィーナ」を発売開始してから24年目

になります。

化粧品とは「体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で、皮膚等に塗布等

するもので、作用の緩和なものをいう。いわゆる基礎化粧品、メーキャップ化粧品、

シャンプーなどである。」(出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)

花王は、洗剤などの家庭用製品のトップメーカーです。


その分野では、圧倒的に強いので花王は家庭用雑貨品メーカーのイメージが

大変強いのですが、その花王が化粧品を販売したのです。

しかし、その花王をもってしても「花王ソフィーナ」は「資生堂」、「カネボウ」、

「コーセー」、「ポーラ」などの強力なメーカーと正面からぶつかる商品ではありません。

今でこそ、「花王ソフィーナ」は中間の価格帯である2000円から4000円の

商品もありますが、発売当時は低価格の商品でした。

いわゆる美容部員がカウンセリング(対面販売)しながら販売する「メーキャップ化粧品」

などは、「資生堂」などのブランドイメージが強いので最初は参入しませんでした。

商品の機能を強調した「基礎化粧品」分野で進出したのです。

商品のイメージでなく、徹底的に機能にこだわり、低価格を武器に売り込んだのです。


機能的にすぐれた商品であれば消費者に支持されるとの考えです。

その花王が、4100億円でカネボウ化粧品を買収したのです。

いくら業績のよい「カネボウ化粧品」であっても、永遠に業績が良い保証はありません。

そのうえ、花王がカネボウの化粧品事業の買収に名乗りを上げたときに、カネボウ

の従業員、系列販売店から強い反対の声があったことは良く知られています。

化粧品のブランド力、ファッション性などで花王のイメージに対する拒絶反応が

あったのだと思います。

花王も巨額の投資をするわけですから、化粧品事業の相乗効果が見込め

なければ、何のために投資したのか分からなくなります。

カネボウに反対勢力もあり、かなりのリスクがあるのに買収しました。

私は、花王のカネボウ化粧品の買収は、化粧品事業の次をにらんだ戦略が

あると思っています。

 

2.花王の挑戦「視線はアジア」(2008年7月16日のブログから)

 

花王はカネボウ化粧品を買収しましたが、その戦略は何でしょうか。

日本はこれから少子高齢化が進みます。

日本国内の売上は大きく増えることはないと思われます。

それなのに、花王はカネボウ化粧品を買収しました。

私は、花王の次なる戦略は「アジア市場」をターゲットにした商品の販売だと

思っています。

その中で注目されるのは資生堂の中国進出の成功です。

資生堂は、中国でも日本と同じように美容部員を養成し、着実に売上を

増やしてきました。

資生堂がメインで売っている化粧品は、カウンセリング化粧品と呼ばれる物で、

美容部員がお客様の化粧に関する相談に乗りながら、実際にお客様に化粧を

しながら売る商品です。

税理士森大志のひとりごと「資生堂の戦略」参照)

資生堂は、中国において化粧品のブランド戦略に成功しています。

日本に来る中国人観光客が、資生堂の化粧品の指名買いをしていることで分かります。

税理士森大志のひとりごと「メイドインジャパン」参照)

ただ、花王も何もしなかったわけではありません。

2004年には、中国で化粧品(ソフィーナ)事業を開始しています。

しかし、花王は、資生堂が販売している美容部員によるカウンセリング化粧品は

得意ではありません。

ブランド戦略を強化するには、高級化粧品であるカウンセリング化粧品を販売

する必要があるのです。

資生堂の中国での成功はそのことを証明しています。

その中での、カネボウ化粧品の買収です。

また、2003年からはヘアケアブランド「アジエンス」を発売しています。

この商品は、商品名が示すようにアジアをターゲットにしている商品です。

花王のホームページによりますと、『東洋人ならではの美しさを引出し、芯から

しなやかな髪にするヘアケアブランド「アジエンス」』と説明しています。

初代イメージキャラクターにはチャン・ツィイー(中国)を起用し、後藤久美子

(日本)などを起用した後、現在ではチョン・ジヒョン(韓国)を起用しています。

私は、花王のカネボウ化粧品の買収は、中国をはじめアジアをターゲットにした、

次なるブランド戦略の始まりだと思っています。

そうでないと、高額でカネボウ化粧品を買収した本当の意味はないのです。

 

3.花王の挑戦「中小企業の場合」(2008年7月16日のブログから)

 

花王はソフィーナを販売してから24年目にカネボウ化粧品を買収したのですが、

決して技術力がなくカウンセリング化粧品に進出しなかったわけではありません。

美容部員を育て、対面販売で化粧品を売るやり方が花王の目指しているものと

方向性が違ったのです。

商品の機能だけでなく、商品のイメージを前面に出してブランドイメージを高め、

販売する。

有名女優を起用し、テレビで大量の広告を流す、イメージが先行する販売方法です。

花王のやり方は、コンパクト洗剤「アタック」の開発など技術力を武器に、技術力を

前面に出した広告で、他社との違いを強調してシェアを伸ばしたのです。

テレビで大量の広告を流しますが、その内容は微妙に違います。

また、花王があまりに洗剤、シャンプーなどの日用品でブランド力があるので、

逆に高級化粧品市場においては、そのイメージを引きずりマイナスになる場合

もあります。

高級化粧品の販売においては、高級なイメージに基づくブランド力がものを言うのです。

技術力のある花王ですが、資生堂などの高級化粧品メーカーと正面からぶつかる

商品を出さず、技術力を前面に出しやすい基礎化粧品で勝負したのです。

このことは、私たち中小企業の販売戦略においても重要です。

どんなに技術力があり、良い商品を開発できたとしても、実際に売れるか

どうかは別なのです。

特に技術力のある社長に多いのですが、良い商品だから売れないはずはない、

絶対に売れると断言することがあります。

しかし、どんな良い商品でも、「顧客ニーズ」、「販売価格」、「ライバル企業」、

「ライバル商品」等々、様々なことを検討して販売しなければ上手くいきません。

技術力のある花王でさえ、今まで本格的に高級化粧品市場には進出して

いないのです。

私たち中小企業も、今一度市場を分析し、これからの販売戦略を考えましょう。

 

 

資生堂と花王のそれぞれの戦略を見ますと、その業界でトップメーカーになった

会社の凄さを感じます。

 

そして、私たちの企業戦略の参考になると思います。

 

これから、私と一緒に勉強しましょう。

 

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私は豊島区池袋で開業し税理士として様々な会社を見てきましたが、起業して成功している会社には『戦略』があります。

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起業家のための創業支援、起業戦略の相談・『税理士森大志の起業戦略塾』は、東京都豊島区池袋の会計事務所・森大志税理士事務所が運営しています。

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プロフィール

名前 森 大志(もりたいし)
性別 男
職業 税理士

東京都豊島区池袋で開業している税理士です。今月の税務・税制改正等は上記サイトをご覧下さい。

森大志税理士事務所

住所

〒170-0013
東京都豊島区東池袋5-50-6 栄第一ビル6階

豊島区池袋の税理士森大志のとことん事例にこだわる実践経営セミナー・東京企業戦略塾

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