技術力があると、この商品が売れないわけはない、この味がわからないのは

おかしい等々勘違いをすることがあります。

 

技術力があればある程、技術者の発言権が強くなる傾向があり、そのことが

企業経営を危機に陥れることがあるのです。

 

特に技術者の技術力により、良い製品ができ、大ヒットを飛ばした後ほど

技術者は言うことを効かなくなることが多いのです。 

 

優秀な営業マンはお客様の声をよく聞きますが、大ヒットの後ほど運が良かったと

言う謙虚な態度で経営の舵をとることが大切です。

 

 

1.技術力のわな(2007年12月7日のブログ記事から)

 

世界のソニー、技術のソニーと自他共に認めているソニーの戦略を取り上げます。
 

今回取り上げるのは、VTR(ビデオテープレコーダ)です。

VTRは皆さんもご存じの通りソニーが開発したベータ(ベータマックス)方式と、

日本ビクターが開発したVHS方式と言われる方式があります。

これも皆さんが御存じの通り、最終的に日本ビクターのVHS方式が圧勝したのです。

ここで注意しなければならないのは、ベータ方式よりVHS方式のほうがすぐれている

商品だから勝ったのではないのです。

むしろ商品的にはベータ方式のほうがテープのサイズが小さく写りもよくすぐれて

いるのです。

どうしてかと言うと、これは家庭用のVTRのことで放送局などのプロの間では

ソニー製品が使われているからです。

それなのに、なぜVHS方式が勝利したかと言いますと、ソニーの

「販売戦略のまちがい」なのです。

ソニーはベータ方式を売り込み、ビデオ市場を独占しようともくろんだのです。

しかし、日本ビクターは違いました。

積極的に特許を公開(これが後に特許料収入をもたらしました。)し仲間を

増やしたのです。

松下電器、日立、東芝等次々にVHSを採用し、VHSグループを形成し、

ソフトメーカーも次々にVHS方式の採用に動き、VHS方式の勝利が確定したのです。

この件は、皆さんの会社経営にも共通する重要な問題を示唆しています。

どんなによい商品でも売れるとは限らない、ということです。

技術力があると、この商品が売れないわけはない、この味がわからないのは

おかしい等々勘違いをする場合があるのです。

私はあえてこんな場合を「技術力のわな」だと思っています。

くれぐれもご注意ください。

 

 

2.技術力のわな2(2007年12月10日のブログ記事から)

 

VTRの競争においてソニーに圧勝した日本ビクターでしたが、その後の戦略に

おいては失敗しました。

VTRの規格であるVHSはアナログの規格であり、その後の時代のビデオは

デジタルに移行したのです。

そうすると、VHSでは日本ビクターの規格に乗った他のメーカーは、デジタル時代は

自社が主導権を握ろうとそれぞれ動いたのです。

それにも関らず、日本ビクターはVTRの規格提唱メーカーと言う立場にこだわり続け、

技術力には自信があるので再び、デジタル時代も主導権を握ろうとしたのです。

VHSで勝ったので、次も勝てると思ったのかもしれません。

確かに、日本ビクターは技術力があるかも知れませんが、競争相手である他の

メーカーは日本ビクターより大きく技術力もあるのです。

そして、VTRの開発競争、ソフト等の販売戦略において他のメーカーは失敗により

学習しました。

「ソフトを制するものが勝つと」

同じように、デジタル時代に失敗するわけはないのです。

アナログであるVHSでは負けても、デジタルでは負けないぞと思って開発したのです。

それなのに日本ビクターは、VHSでの大成功を引きずりVHSの延長で開発を進め

判断を誤まりました。

デジタルは高画質、高音質、長時間録画、コンパクトサイズ等の利点がありますが、

アナログとデジタルは別なものなので、アナログのお客様をそのままデジタルに

移行させるのは無理があると思うのです。

アナログでの成功を忘れて、デジタルの開発に経営資源を集中すべきだったと思います。

本当に絶頂の後は危ないのです。
(森大志のひとりごと『絶頂の後は危ない「安倍首相退陣」』参照)

2007年3月期の決算は、売上高7427億円(前期比8%減)、営業利益57億円

の損失(前期は69億円の損失)、当期純利益は79億円の損失

(前期は306億円の損失)という結果になりました。

そして、2007年8月には、音響メーカーであるケンウッドと

投資ファンドであるスパークス・グループに第三者割当増資を実施し、

松下電器産業の連結子会社から持分法適用関連会社となったのです。

2008年にケンウッドとの経営統合を目指し、「経営統合検討委員会」も発足させました。

このようなことは、われわれ中小企業でも起きることを私は経験しています。

大成功の後は、会社が倒産する位の大ピンチになることがあるのです。

 

 

3.技術力のわな3(2007年12月11日のブログ記事から)

 

プレイステーション2(PS2)で大成功を収めたソニーの、その後の戦略について考えます。

PS2で成功したソニーは次世代機としてプレイステーション3(PS3)を開発し販売しました。

PS3の特長はデジタル家電とコンピュータの融合時代を先取りしたハードの性能でした。

日本ビクターはVHSの成功にこだわり、デジタル対応に失敗したのですが、ソニーは

PS2の成功にこだわらないで失敗したと思っています。

ソニーは、VTRでは優れた商品を開発したにもかかわらず、販売戦略に

失敗しました。

PS2からPS3への移行については、商品(製品)戦略の失敗だと思います。

PS2の大ヒットにより大成功を収めたソニーですが、PS3の開発にあたって

あまりに技術にこだわり、高機能、高価格の機器を開発したのです。

高機能になった結果、PS3へ移行したのにPS3に合うソフトが開発できない、

開発費の高騰を招くという結果になりました。

また、高価格になったため、今までのPS2の購買層から乖離し一部の

マニアックな人達(多少高くても買いたいと思う層)の支持しかなくなりました。

私もそうですが、ゲームの機器に3万円以上払うつもりはありません。

PS2の購買層であるゲームを単に楽しむ層をそのまま取り込むことを考え

なければいけないと思うのです。

一番需要の多い客層をターゲットにしなければいけないのです。

(森大志のひとりごと「任天堂の戦略」参照)

PS3はPS2と互換性がありますが、価格があまりに違うので、互換性があることで

PS2の客層を取り込んだことになりません。

ソニーは技術力があるので、デジタル家電とコンピュータの融合時代を先取りした

機器を作りたいとの考えは判りますが、あくまで半歩先取りする位が丁度良いのです。

一歩も二歩も先行する機器に、他の面でついていけないのです。

ソフトしかり、利用者しかりです。

機器の高性能化により、ゲームの内容も高度化していますが、長く続くゲームは、

トランプ、花札、麻雀、チェス、オセロゲーム等単純なゲームばかりです。

PS2の成功体験により、技術力が前面に出てデジタル家電とコンピュータの

融合時代を先取りした機器を作ってしまった。

本当にハードの性能はすごく良いのです。

でも、私はPS3を買いません。

技術力があると、この商品が売れないわけはない、この味がわからないのは

おかしい等々勘違いをする場合があるのです。

私はあえてこんな場合を「技術力のわな」だと思っています。

くれぐれもご注意ください。

 

このように成功を収めた会社が、成功を納めたがゆえに経営戦略を間違える

ことがあります。

 

中小企業では致命的な失敗になることもあるのです。 

 

私たち中小企業は、このような事例を研究して経営に活かさなければなりません。

 

私と一緒に勉強しましょう。

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-5954-9002

私は豊島区池袋で開業し税理士として様々な会社を見てきましたが、起業して成功している会社には『戦略』があります。

その経験を活かし、このサイトは、経営戦略を勉強し中小企業を応援いたします。

起業家のための創業支援、起業戦略の相談・『税理士森大志の起業戦略塾』は、東京都豊島区池袋の会計事務所・森大志税理士事務所が運営しています。

 実際の企業の事例に基づくセミナー『真・東京企業戦略塾』の開催をしています。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

03-5954-9002

プロフィール

名前 森 大志(もりたいし)
性別 男
職業 税理士

東京都豊島区池袋で開業している税理士です。今月の税務・税制改正等は上記サイトをご覧下さい。

森大志税理士事務所

住所

〒170-0013
東京都豊島区東池袋5-50-6 栄第一ビル6階

豊島区池袋の税理士森大志のとことん事例にこだわる実践経営セミナー・東京企業戦略塾

ブログ・税理士森大志
(もりたいし)のひとりごと

メールマガジン
登録フォーム

メールアドレス(必須)

(例:xxxxx@xyz.jp)
半角でお願いします。
メールアドレス (確認用再入力)(必須)

(例:xxxxx@xyz.jp)
半角でお願いします。

内容をご確認の上、よろしければ下記ボタンをクリックして下さい。

(上記ボタンを押した後、次の画面がでるまで、4〜5秒かかりますので、続けて2回押さないようにお願いいたします。)

入力がうまくいかない場合は、上記内容をご記入の上、メールにてお申込ください。

メルマガ解除フォーム

メールアドレス(必須)

(例:xxxxx@xyz.jp)
半角でお願いします。
メールアドレス(確認用再入力)(必須)

(例:xxxxx@xyz.jp)
半角でお願いします。

内容をご確認の上、よろしければ下記ボタンをクリックして下さい。

(上記ボタンを押した後、次の画面がでるまで、4〜5秒かかりますので、続けて2回押さないようにお願いいたします。)

入力がうまくいかない場合は、上記内容をご記入の上、メールにてお申込ください。