だいぶ前の話ですが、内容については今でも参考になりますので取り上げます。
平成20年1月26日の日本経済新聞朝刊に、「福地NHK会長就任」という記事が
ありましたが、自分の考えが間違っていないことを確信しました。
福地茂雄氏は、あのキリンビールと激烈なトップ争いをしているアサヒビールの元社長です。
この記事で、福地氏の次のようなエピソードが紹介されています。
『アサヒビールでは営業畑一筋に歩み、社長になっても顧客や現場を重視する
姿勢を貫いた。2001年に社運をかけて市場投入した発泡酒「本生」の発売当日、
自ら量販店の店頭に出向いて顧客の反応を確認。ヒットの確信をつかむやいなや
その日のうちに増産を決め、ビール系飲料でのシェア首位を同年にキリンビールから
一気に奪取した逸話はいまも社内の語り草だ。』
そして、NHKの会長を引き受けてからは、
『自ら電話で知らせて川崎市にあるNHKのコールセンターを訪問。
視聴者からどんな苦情が届いているか目と耳で確かめた。』
就任当日の職員への挨拶でも、
『「一番苦労しているのは週末も対応に当たるオペレーター」と発言。
視聴者の信頼をつなごうと最前線で対話にあたる現場を気遣った。』
ここで言える事は、
1.新商品に対する顧客の反応を自分の目で確認し、増産という経営判断をしている。
2.顧客の苦情の内容を自分の目と耳で確認し、経営改善のヒントをつかむ。
3.経営再建には現場の協力が必要なので、気遣いすることにより、現場を味方につける。
以上のように、
顧客・現場の声を重視し、経営判断していることです。
私もこのことは非常に重要なことだと思っています。
(『真実は現場にある』参照)
そして、次のことに注意することが大切です。
1.三越百貨店の元社長の岡田茂氏(天皇と呼ばれていました。)はお店の
視察をよく行っていましたが、従業員は社長が来るとお客様がいても社長に
気を使い、ご機嫌をとっていました。
これでは、何のために視察しているかわかりません。
2.ダイエーの副社長であった創業者の2代目が店舗の視察に行くと、事前に
売り場の商品を鮮度の良いものに替え、それを見て2代目は満足していました。
普段は売れ残りも多く、鮮度の悪いものも陳列していました。
これでは、正確な経営判断が出来ません。
このように、現場の人間は事前に用意してよく見せようとするのです。
みなさんが子供の時に、父兄参観があり給食の時間に給食の内容がいつも
よりよいと感じたことはありませんか。
このように、現場というのは取り繕うのです。
優秀な経営者はそういうことも考えて経営判断しているのです。
経営判断をするということは、ある物事の裏側にあることを読む、見通す能力が
必要なのです。
私と一緒に勉強しましょう。
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